March 2009
2009.03.23
2009.03.15
2009.03.14
2009.03.10
「菜の花が風に」
春のような青空の下
少し急いでいたせいか、見知らぬ道に迷い込んで
しばらく川沿いを車で走らせていたら
土手一面に菜の花が、美しく咲き誇っているのが見えた。
そのあまりの美しさに、しばらくの間、呆然となって
そして 心がじんわりと やさしさに満ちていた。
そんなとき 不思議に私は思っていた。
どうして人はこんなふうに、美しいものに出会ったとき
幸せな気持ちになるんだろう。
こんな小さな菜の花で お腹がいっぱいになるわけでもないのに
こんなありふれた菜の花を見て お金が増えるわけでもないのに。
日頃の忙しさのせいか、つい、そんなふうに
メリット、デメリットをその花に
見つけようとしている自分に気づいて
ほんの少し苦笑いした。
子供の頃なら、きっと私は
ただ、その美しさに はしゃいで
そして誰かに教えたくて
夢中になって叫んだんだろう。
「ねぇ、こっちにおいでよ」って。
とても静かな昼下がり
私は車の窓を開けて ゆっくりと風を感じていた。
遠くで小さな女の子が 指をさして 遠くの誰かに叫んでる。
そして小さな男の子が その声に駆けてゆく。
そしてその男の子もまた、遠くの誰かに何か叫んでる。
風のいたずらなのか
私にも あの頃みたいに
そっと心に届いていた。
「ねぇ、こっちにおいでよ」って。
取引先にはちゃんと あとで謝ればいい。
私はドアをゆっくりと開けた。
菜の花が風に 微笑んでいた。







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